ULOGクリスマス!
兎目覚める夜 小説 #ULOGクリスマス最高ランク : 1 , 更新:
__風は翠に希望の一筆__
どうも、皆さんこんばんは。
翠風深兎です。
今日はULOGクリスマスの日ですね!
……と言いたかったのですが、諸事情で間に合いませんでした。
ごめんなさい。
というわけで、いつも通り小説を書いていきます。
早速、どうぞ!
「クリスマスソング」
クリスマスの時期に東京を歩くと、よくある光景がある。
テレビカメラを持った人たちに、道行く人がインタビューを受けるのだ。
無論、私も例外ではなかった。
「クリスマスソングといえば、何ですか?」
「そうですね」
私は左手の薬指にはめた指輪にそっと触れながら答える。
「『reach you』でしょうか」
テレビのスタッフさんたちがきょとんとした顔を見合わせる。
無理もない。
この曲は、決してクリスマスソングではないのだから。
「ウタツキのデビュー曲。クリスマスソングではないですが、私にとってはクリスマスの思い出の曲なんです」
「俺、留学しようと思うんだよね」
彼氏からそう切り出されたのは、大学受験間近の頃だった。
「えっと……どうして?」
「ずっと言ってなかったけどさ、俺……歌手になりたいんだ」
初めて知った。
驚くと同時に、かっこいい、と思った。
私は未だにこれと言ったやりたいことはなく、そこそこいい大学に行って適当な職業に就ければいいと考えていた。
だから、こんな風に追いかける夢があってそのために努力できるって、すごくかっこいいことだなと思うのだ。
「いいと思うよ」
「え、いいのか? 離ればなれになって、全然会えなくなるのに」
「何言ってんの。電話すればいいことでしょ。歌月(かづき)から電話かかって来たら私、真夜中でも出るよ」
私が自信たっぷりに言うと、歌月は少し微笑んだ。
「そうか……ありがとう」
「全然いいの。夢があるっていいことじゃん。全力で応援するよ」
「……全く、世楽(せら)は優しいな」
そう苦笑した歌月が海外に旅立ったのは、高校の卒業式を終えた3月だった。
「行ってくるよ……」
空港のプラットフォームで、これから夢を叶えに行く人の顔とは思えないほど泣く歌月が愛おしくて私ももらい泣きしてしまった。
それから、私たちは毎日のように電話した。
歌月は時差に配慮してくれているようで、いつもお昼時のスマホから眠そうな声が聞こえてくる。
電話の内容はいつも、他愛ないものだった。
歌月のいる外国の話とか、私の大学の話とか。
「今日、大学の友達に自慢したんだよ。私の彼氏は歌手になるために留学してるの、すごいでしょって」
私がある日そう言ったら、歌月も対抗するように言った。
「俺も今日、留学先の友達に自慢したよ。俺の彼女は留学を応援してくれる素晴らしい彼女なんだ、すごいだろって」
「何それ、彼氏の夢を応援するのなんて当たり前じゃん」
「うん、やっぱり世楽大好き」
「ず、ずるい!」
これが電話でよかった。
直接会話していたら、私の真っ赤な顔を歌月に見られてしまう。
そうは言っても、やっぱり直接話したいという気持ちは残っていた。
お正月も、ハロウィンも、クリスマスも、私たちは電話をして過ごした。
世のカップルたちはその間にデートをしているのかもしれない。
歌月と会えなくても寂しくないと言ったら嘘になる。
でもその一方で、夢を追いかけて海外まで飛び立った彼氏が誇らしかった。
変に私に気を使って諦められるよりずっと嬉しい。
だから、私は歌月と離れていても耐えられたのだ。
あれは、歌月と別れてから三度目のクリスマスだっただろうか。
12月に入ったばかりの頃の電話で、歌月が言った。
「今年はとびっきりのクリスマスプレゼントを用意してるから」
「え、何?」
「それはお楽しみ」
なんだろう。
とびっきりのプレゼント、か……。
歌月が帰ってくるとか?
そうだったらすごく嬉しい。
「プレゼントの都合があるから、イブは予定空けておいてね」
「あ、うん」
私はすっかり興奮して、上ずる声を抑えることができなかった。
まともに夜も眠れないままゆっくりと日が経ち、ようやくクリスマスイブになった。
しかし、何も起こらない。
いくら待っても誰も来ない。
そのまま夜は無情に深まっていく。
焦る私を嘲笑うかのように、明日が刻一刻と近づいてくる。
--約束、忘れたのかな。
それとも、あの電話は夢だった?
歌月に会いたい私の心が生み出した幻聴?
半ば諦めて寝ようとした、そのときだった。
真夜中に似つかわしくないインターホンの音が鳴り響いたのは。
私は恐る恐る玄関の扉を開ける。
「あ、よかった、起きてた。遅くなってごめん。飛行機が遅れちゃって」
毎日電話越しに聞いていた、綺麗な声。
「久しぶりだね、世楽」
目の前の懐かしい顔に、涙が溢れる。
日付が変わる間際。
家に来たのは、歌月だった。
私は泣いたまま歌月を自室に通す。
私はお茶を出すのも忘れて泣きじゃくった。
「ちょっと、泣きすぎだよ」
「だって、歌月遅いんだもん。もう来ないかと思った」
「ごめんて……飛行機遅れたときは俺だってもう駄目かと思ったよ」
歌月が私の頭をそっと撫でる。
「じゃあ、誕生日プレゼントを渡そうか」
「え、プレゼントって歌月が帰ってくることじゃないの……?」
「それだけで満足するなよ」
歌月がそう笑いながら大きな鞄を漁る。
「ほら」
歌月が差し出したのは、一枚のCDだった。
「俺、とうとうデビューできるんだよ。まだ発売前だけど、世楽のために一枚もらってきた」
「歌月……!」
私はもらったCDをぎゅっと抱き締める。
感極まってもう何も言えない。
涙の激流がさらに水量を増した。
曲名は『reach you』。
「世楽に想いが届くといいなって思って歌ったんだ」
……私のために、歌月が。
こんな幸せ、あっていいのだろうか。
「世楽、メリークリスマス」
歌月が私を抱き締める。
気がつけば、時計は12時を回っていた。
どうですか?
数時間遅れましたが楽しんでいただければ幸いです。
それでは!
__未来図に今日の色を重ねて__
…いいな、こういうクリスマスも
(自分の話とかぼっち回避したいだけの2人の話だしな…。)
ひすい
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